2018.04.09

クロマティに殴られた男・宮下昌己が語る
地元中学の同級生・荒木大輔

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro

 大輔のことはずっとスターだと思っていたし、この先もエリート街道を進む男で、別格だと感じていました。でも、同じドラフトで指名されて、同時にプロ野球選手になって、「オレもやっと同じステージに立てたんだ」と思いました。プロに入ればゼロからのスタート。高校時代の実績は関係ありませんから。

 プロ野球選手として大輔と投げ合ったとき、調布の同級生たちは盛り上がったみたいです。やっぱり感慨深いものがありました。「絶対に先にはマウンドから降りないぞ」と思ったものです。ナゴヤ球場で先発した試合はすごくうれしかった。結果はどうなったんだろう? ドラゴンズが勝ったと思うんですけど、覚えていない。オレのほうが長くマウンドにいたような気はするけど、違うかな? 

 でも、その後は大輔はひじを痛めて、オレは肩を壊して……2度と投げ合うことはなかったですね。

 復帰した後の大輔のピッチングを見て、「ずいぶんフォームが変わったな」と感じました。「そんなはずじゃないだろ。どうしたんだ!」と思いましたね。すっかり技巧派になっていて、以前と比べれば小さく見えた。もともと力勝負するピッチャーじゃないけど、昔のオーラがなくなっていて、さびしかった。

 故障さえなければ、最低でも100勝くらいはできたピッチャーだと思う。もしかしたら、高校時代がピークだったのかもしれないね。でも、あれだけ投げれば故障もしますよ。

 昔のプロ野球は、ローテーションに入っているベテランでも、次の試合までの間にブルペンで100球、200球も投げさせられましたから。オレなんか、ブルペンで1回から9回まですっと投げさせられたことがあります。「7球あれば肩できるから大丈夫です」って言ってるのに……。分業制も進んで、調整法も選べるようになってきている今の選手たちがうらやましいです。