あの公立エースをメジャーも絶賛。
センバツ「発掘されたドラフト候補」

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 あるセ・リーグ球団のスカウトに「このセンバツでパッと名前が浮かぶ選手は?」と聞くと、東海大相模の梶山耀平(外野手/165センチ70キロ/右投左打)の名前を挙げた。

「聖光学院との試合では、ヒットはライト前に1本だったかな......でも、その前のセンターライナーといい、東海大相模のなかでは一番いいタイミングでボールをとらえていました。ヒットで出て、相手のパスボールで進塁して、すぐに三盗でしょ。野球を知っている選手です。上背はないけど、グラウンドでは大きく見える。プレーがエネルギッシュ」

 広島・近藤芳久スカウトのイチ押しは、彦根東の左腕・増居翔太(171センチ64キロ/左投左打)だ。

「ピッチングができています。つまり、打者を見ながら、タイミングを外して投げている。この時期の高校生だとキャッチャーのミット目がけて投げるのが精一杯だけど、増居くんはしっかりバッターに向かって投げている。ピンチになってもリリースポイントがブレないのは、気持ちがしっかりしているから。『こう投げたらこうなる』というのがわかっていて投げている証拠です」

 もうひとり、増居を大絶賛したスカウトがいる。MLBのカンザスシティ・ロイヤルズの大屋博行スカウトだ。

「左の腕がいったん伸びて、そこからまた投げてくるような独特な体の使い方ですよね。体の切り返しもしっかりでているし、クロスファイアーの球筋も鋭い。ストレートは最速でも130キロ台後半ですが、ベース上でも球速が落ちないから打者は140キロ以上に感じるのではないでしょうか。今大会、私のなかではナンバーワンピッチャーです」

 また今大会は、遊撃手にも多くの逸材が揃っていた。ある球団のスカウト部長が惚れ込んだのが、50メートル5秒台の快足遊撃手・静岡高の村松開人(170センチ70キロ/右投右打)。

「本物の俊足です。それに帰塁の反応が抜群だから、スタートも自信を持っている。とにかく反応が素晴らしい。ベースランニングもそうだし、フィールディングもそう。バッティングだって、体は大きくないけど強いスイングができる。おそらく進学希望なんでしょうけど、実力だけならプロの"リスト"に載ってくるレベル。ちょっと見ないと、『村松どうしてるかな......』って気になるような、そんな選手ですね」

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