明徳義塾がいてもセンバツ2年で1勝7敗。四国の野球はもう古いのか (2ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 初戦は4番の劇的なホームランでサヨナラ勝ち。そして2戦目はエース・市川悠太が8回まで3安打無失点の好投を見せていただけに、試合後の馬淵監督は悔しさを滲ませていた。

「今年はチャンスと思うたけどな......」

 馬淵監督は敗因についてこう語った。

「27個目のアウトを取るまで野球はわからん。今日は打てなすぎたけど、打撃戦でも投手戦でも勝たないと上には行けない。ゲームの流れが悪かったね。9回表に1点でも入っていれば、あのまま勝ってますよ」

 明徳義塾が1-0とリードして迎えた9回表の攻撃、1アウト満塁の場面で馬淵監督が選択したサインはスクイズだった。しかし、打者がそれを見逃して得点できず、ファーストゴロでダブルプレー。追加点が入っていれば、最終回のマウンドに立つ市川のプレッシャーを軽減できたはずだった。

「でも、バッターが見逃すサインを出した監督の責任です」

「チャンスの後にピンチあり」という言葉の通り、チャンスを逃した後の9回裏にヤマ場が訪れた。日本航空石川の1番打者がライト前ヒットを放ち、続く2番打者がフォアボールを選んでノーアウト1、2塁。瞬く間にサヨナラの舞台が整った。

 日本航空石川の中村隆監督は、3番打者の原田竜聖に「バントするか?」と聞いたが、返答は「打ちます!」だった。

 馬淵監督はあの場面を「昔の高校野球やったら考えられんよね」と振り返る。

「9回裏のノーアウト1、2塁の場面でバントさせずに、3番バッターに打たせるんやもん。普通なら、バントで送って1アウト、2、3塁にするところやろうけど」

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