プロ球団スカウトが密かに目をつけた、センバツ7人の「隠し球選手」 (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 また別のスカウトは東邦(愛知)の山本泰正(外野手/180センチ79キロ/右投右打)の名前を挙げた。

「均整のとれた抜群の体格、50メートル5秒台の俊足、低い弾道で90メートル近く投げられる鉄砲肩。肝心の野球はどこまでうまくなるかなぁって思っていたら、昨年秋は徐々に実戦で打てるようになっていました。ただ、まだ"金属バット頼み"みたいなところがあって、この春はどれぐらいバットを使いこなせるようになっているか楽しみにしています」

 ロッテの山森雅文スカウトは、担当している九州から3人の名前を挙げた。

「能力が高いわりに、あまり騒がれていないのは延岡学園の小幡竜平(遊撃手/180センチ73キロ/右投左打)じゃないですか。打てるショートはポイントが高い。彼は低めにツボを持っていて、ボール気味の低めの球を右中間に放り込んだのを見ました。肩も強いし、足もある。いい選手ですよ」

 続いて挙げたのが、創成館(長崎)のふたりの投手だ。

「エース格の川原陸ではありません。彼はもう有名でしょう。私は七俵陸(しちひょう・りく/181センチ79キロ/左投左打)と伊藤大和(182センチ75キロ/右投右打)に注目しています。投手の"素材"として見れば、川原と互角かそれ以上かも......と思っています。七俵の腕のしなり、伊藤のサイドハンドからの真っすぐのキレ。今後も注目していきたい逸材です」

 オリックスの上村和裕スカウトは21世紀枠で出場する由利工業(秋田)のエース・佐藤亜蓮(174センチ78キロ/右投右打)を推す。

「東北のなかでは有数の素質の持ち主です。オーソドックスなオーバーハンドで、フォームに悪いクセがないのがいいですね。今はインターネットでいろんな映像が見られるので、そこから参考にする投手が多い。その向上心はいいのですが、無駄な動作を身につけてしまうケースが多いんです。佐藤くんにはそういったところがない。2年秋の段階で145キロ近く投げたパワーもある。潜在能力の塊だと思いますね」

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