タフネス兄弟、DeNA細川成也の弟・拓哉がセンバツで狙う強豪撃破 (2ページ目)

  • 高橋博之●文 text by Takahashi Hiroyuki
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 細川は秋の県大会から投げ抜いた。さらに、関東大会でも3日連続を含む5日間で4試合500球近くを投げた。

 初戦の山梨学院戦は5安打、3失点で完投。続く健大高崎(群馬)戦は15安打を打たれて5点を失いながらも連続完投。連戦となった準決勝の慶應義塾(神奈川)戦は8回1/3を投げて10安打、4失点。3日連続となった決勝戦はリリーフでの登板だったが、3回1/3を被安打3、失点1と快投した。

「成也も体が頑丈でしたが、拓哉も負けずにタフです。投手経験1年でここまで投げられるとは。体の強さは坂本勇人(巨人)を凌ぐかもしれません。体も性格も血筋なんだと思います」

 監督も認める体を持つ一方で、手痛い一打を浴びることもあった。しかし細川は打たれても堂々と振る舞い、心が折れることなく持ちこたえた。そこには兄からの助言があった。

「兄からはいつも『最後は気持ちだ。絶対に気持ちで負けてはいけない』と言われています。どんなに打たれても、そこだけは譲ってはいけない。兄の言葉を信じて投げ続けました」

 兄とはずっと一緒に野球をやってきた。細川が野球チームに入ったのは小学校1年の時。3年生だった兄が地元の北茨城リトルに入ると細川も入った。兄が中学生になり、いわきリトルシニアに入ると、5年生ながら一緒に入団した。

 いわきリトルシニアのグラウンドは実家から自動車で40分ほどかかる。そのようなこともあり当初は休日のみ練習に参加していたが、1年ほどして平日練習も参加するようになった。中学卒業後は兄の後を追うかのように明秀日立へ入学し、金澤監督の指導を受けた。

 そして最高学年になった今、兄と同じ背番号1を背負いチームを引っ張る。ずっと兄と一緒だっただけに比べられることも多い。しかし細川は「比較してもらえるのはありがたいことです」とさらりと言いつつ、選手としては兄とは異なるタイプだと自己分析してくれた。

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