センバツ注目の二刀流・大谷拓海は、大谷翔平のことより「打倒・明徳」

  • 松本英資●文 text by Matsumoto Hidesuke
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 第90回を迎える今年のセンバツ高校野球大会は例年になく見どころ満載。賛否両論が渦巻くタイブレーク制の導入や、史上3校目のセンバツ連覇を目指す大阪桐蔭の戦いぶり、さらには夏の第100回記念大会の前哨戦としてとらえる向きもある。

 だが、いちばんの見どころは、やはりグラウンドで戦う選手たちの活躍だろう。

 そのなかでにわかに注目を集める球児がいる。春夏を通して甲子園初出場の中央学院高校(千葉)のエース・大谷拓海(おおたに・たくみ)だ。

 最速145キロの右腕は、高校通算23本塁打を放つ左の強打者でもある。奇しくも、今シーズンからロサンゼルス・エンゼルスでメジャー入りを目指す大谷翔平と同姓で、プレースタイルも同じ右投げ左打ちの"二刀流"。ひとかたならぬ因縁を感じずにはいられない。

 学校所在地が千葉県我孫子市に位置することから"我孫子の二刀流"とも呼ばれている大谷。そんな大谷が野球を始めたのは小学2年生のとき、友だちに誘われたのがきっかけだという。

「小学生時代はリトルリーグなど少年野球のチームには所属せず、遊び半分で始めたにすぎません。軟式ボールを打っても飛ばず、友だちから『もっと練習すればうまくなれるよ』と励まされた思い出があります。左打者になったのは、2~3歳の頃。部屋のなかでプラスチックバットを振って遊んでいたら、祖父『打って一塁へ走る際、左打者の方が右打者よりベースが近いから有利だよ』とアドバイスを受けたことがきっかけだったと、親から聞きました」

 本格的に野球に取り組んだのは、中学校に進み船橋シニアに入団してからで、中学3年時には4番を打つ外野手としてチームを牽引し、春の全国選抜大会でベスト16に進出。当時は、投手としてよりも打者として大きな期待を集めていた。

 高校に進学する際、十数校から誘いを受けたが、その中から中央学院を選んだ理由、監督やコーチが高校時代に投手だったからだと明かす

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