名将の孫、最後のPL戦士...来季ドラフト注目の大学生野手も凄かった

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 12月上旬に行なわれた学生ジャパン候補合宿。1227日配信の記事(2018ドラフト候補の大学生投手5人。ジャパン合宿で見たら凄かった)で大学生の投手について触れたが、今回は学生ジャパン合宿で光った野手を紹介したい。

2018年のドラフト上位候補、東洋大の中川圭太2018年のドラフト上位候補、東洋大の中川圭太

 20歳そこそこの若者に"いぶし銀"という表現もどうかと思うが、この選手を見るたびに「渋い野球をするなぁ」と感心させられてしまう。それが明治大の渡辺佳明(3年/内野手/右投左打/横浜高)だ。

 高校時代はプレーそのものよりも名将・渡辺元智監督(当時)の孫として注目が集まっていたが、彼の持っている"野球勘"の鋭さにはいつも舌を巻いてしまう。

 最大の特長は、どんな投手であってもすぐに慣れるということだ。その中で、自分のタイミングで捉えられるボールを見つけると、ひと振りで仕留めてしまう。その見事な対応力は、優秀なDNAというよりも渡辺の持つ感性なのだろう。

 派手なアーチを描くわけでもないし、猛烈なスイングスピードがあるわけでもない。しかし、いざ実戦になったとき、こういう選手が誰よりもいちばん頼りになるのだ。

 この渡辺と同様の"匂い"を感じるのが、日本大の上川畑大悟(3年/内野手/右投左打/倉敷商)だ。昨年は京田陽太(現・中日)と二遊間を組んでセカンドを守り、フィールディングもさることながら、二塁キャンバス付近から一塁へ矢のように刺す強肩が光った。この秋のリーグ戦からショートを守り、相変わらずの安定感を見せつけている。

 バッティングも渋い。特に追い込まれてからの生命力がすごい。カットで粘るというよりも、難しい球をレフト前に運ぶセンスと技術力。相手にすると手の焼ける"曲者(くせもの)"だ。

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