大阪桐蔭のセンバツ優勝が見えた?
神宮大会の完敗が「吉兆」なわけ

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 振り返ると、昨年秋の大阪桐蔭は大阪大会の準決勝で履正社に敗れ、近畿大会も準決勝で神戸国際大付に逆転負けからのセンバツ優勝だった。また、浅村栄斗(現・西武)らを擁し、2008年の夏に全国制覇を達成したときのチームは、前年秋の大阪大会でPL学園にコールド負けを喫している。

 2012年に藤浪晋太郎(現・阪神)、森友哉(現・西武)のバッテリーを擁し、春夏連覇を達成したときの主将だった水本弦は、大阪桐蔭の強さについてこんな話をしていた。

「僕たちが入学してから、1年夏、2年春夏と3季続けて甲子園に行けませんでした。しかも2年夏は大阪大会決勝で東大阪大柏原に終盤追いつかれてのサヨナラ負け。メンバーに入っていた選手はもちろん、ほかの選手もこの夏の負けがあったから、新チームのスタートから意識が高かった。練習もめちゃくちゃやりましたし、毎日、寮で1時間ぐらいミーティングもしました。自分たちに何が足りないのか、何をしないといけないのか。そういうことを徹底的に話し合ってやりました。あの取り組みが、春夏連覇の結果につながったのは間違いないです」

 このときも、秋の大阪大会は制したものの、近畿大会は準々決勝で天理(奈良)に敗れた。この悔しさも加わり、チームは「まだまだ」の思いを強く持って、冬を越した。敗戦を成長の糧とする術(すべ)がチームに根付いているのも大阪桐蔭の強みである。

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