メチャクチャ打つけど投げられない。西川愛也にドラフト指名はあるか (4ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 ただ、西川遥輝は当時も今もボールを選んで打つタイプで、カウントが進んでから勝負にいく場面が多かった。しかし西川は、初球から積極的に振っていくタイプ。これについては、子どもの頃から憧れだったという高橋由伸(現・巨人監督)のイメージが強く重なる。

「テレビで見ていましたけど、高橋さんは本当に軌道がきれいなスイング。憧れるうちに自然と参考にしていたところはあると思います」

 理想のフォームを求めて、日々、バットを振り続けていた少年時代でもあった。

 西川の出身は大阪。実は、西川が小学生だった頃、所属していた長曽根ストロングスに何度か取材をし、本人にも話を聞いたことがあった。長曽根ストロングスは学童野球の世界では知られた強豪で、西川が小学6年生のときに全国制覇を果たしている。

 とにかくよく練習するチームだった。練習日は土日を含め週4回。なかでもバッティングへのこだわりが強く、高学年は素振りで90センチ以上のトレーニングバットと900グラムの竹バットを使い分け100300回スイング。それに加え、ロングティーや6カ所同時に行なうフリーバッティング。さらに、インパクトの強さを出すためにソフトボールを打ち込むケージもあった。トータルで最低でも1日に500回以上はスイングする計算になる。西川が「間違いなく原点です」と語るように、ここでバットを振ることを身につけていった。

 少年時代から身についていたバットを振る習慣に加え、西川は考えて振る意識もある。シンプルに「どうしてそんなに打てるのか?」と聞くと、こんな答えが返ってきた。

「練習のときの考え方が一番だと思います。ただ打つのではなく、どれだけ考えて打つか。普段から考えてやってきたという思いはあります」

4 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る