身長167cm、公立高校の「小さなドラフト候補」が投げるスゴい球 (4ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Nikkan sports

「ひと冬越えて、すべてのレベルが上がったのは間違いないです。冬の間、とにかく体の土台をしっかりつくろうと、徹底してトレーニングに励みました。バーベルを持ってやるスクワットも、昨年9月は100キロを1回上げるのがやっとだったのが、今年の3月には170キロを2、3回上げられるようになりましたから」

 体の強さが一気に加わり、ストレートの速さ、回転数、それに迫力も増した。春の県大会では26イニングを投げ3失点。センバツ4強の報徳学園に敗れはしたが被安打3、失点2と好投。すると、その情報を聞きつけた大阪桐蔭の西谷浩一監督から市立西宮の吉田俊介監督のもとに電話が入り、夏の大会直前の6月に急遽、練習試合が組まれた。

 そこでも山本は、センバツ優勝チーム相手に7回を被安打3、失点3の快投を見せ、一躍マスコミから注目される存在になった。山本もこの試合のピッチングが大きな自信になったという。

「日本一のチームが相手でも、自分のボールを投げることができれば通用するというのがわかりました。特にあの試合は、これまでのなかで一番いいボールを投げることができた。しっかり右足に体重が乗り、すべての力がボールに伝わった最高のストレート。夏の県大会ではその感覚を再現できなかったんですけど、今後もそれを求めてやってきたい」

 そして山本のもうひとつの武器は、夏の県大会で投じた23イニングで四死球はわずか2という制球力の高さだ。

「小さいから体を扱いやすいんだと思います。あと、3歳の頃からストライクゾーンよりひと回り大きいぐらいの壁に、テニスボールを毎日投げていました」

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