身長167cm、公立高校の「小さなドラフト候補」が投げるスゴい球 (3ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Nikkan sports

 自身のフォームのなかで、強く意識していることは何かと聞くと、真っ先に下半身の使い方を挙げた。

「ボールは下半身で投げるものだと思っていて、そこの動きをしっかりつくることができれば勝手に腕も振れて、いいボールもいく。特に、下半身の動きのなかではタメをしっかりつくることを一番に考えています。投げにいくなかでギリギリまで(左サイドの)開きを我慢しながら溜めて、左足が着いたところから一気に回転させる。ボールにすべての力を込めて投げるイメージです」

 山本の父も大学まで本格的にプレーを続けた野球人で、子どもの頃から遊び感覚のなかで自然と様々なトレーニングに取り組んでいた。たとえば、山本の手首は内側に曲げると指先が腕につくほど柔らかい。

「子どもの頃から鉄アレイで手首を鍛えていたことが影響したのかもしれません」

 本人は「運動神経はあまりよくなかった」と告白するが、地道に強さと柔らかさを身につけた。だからこそ、167センチの体を余すところなく使い切り、これだけのストレートが投げられるのだろう。

「ピッチングフォームについては、これまで撮ってもらったビデオを見ると、2年の夏からダイナミックな感じになっていきました」

 その2年夏は、球速が140キロ台に到達し、県大会では8回参考ながらノーヒット・ノーランを記録。次第に注目度は上がっていったが、まだ翌年のドラフト候補と見る向きはなかった。そんな山本の評価が急上昇したのは3年の春以降。

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