身長167cm、公立高校の「小さなドラフト候補」が投げるスゴい球 (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Nikkan sports

「足は速くなかったですし、運動神経も全然よくなかった。バスケットとかバレーとか、ほかの球技も得意ではありませんでした」

 小学生のときに少年野球チームに入り、野手と投手を兼ねていた。中学時代も「ピッチャーをやりながら、セカンド、サード、ショートをこなす。イメージは2番・セカンドで、バントキャラの選手でした」という存在だった。

 本人の記憶によれば、投手として最初にボールが変わったと感じたのは中学3年の夏。エースではなかったが、夏の大会に敗れたあと練習をしていたら、明らかにボールが速くなったという。

 とはいえ、高校に進み、初めて投げた練習試合での最速は123キロ。球速が上がったといっても、しばらくは野手と併用だった。

 1年秋からようやく投手としてベンチ入りし、日々のトレーニングに加え、少しずつ技術を高めていった。自宅でもプロ野球選手の動画を見て、体の使い方を学んだ。

「フォームは人それぞれなので真似することはないんですけど、このピッチャーはこういうところを意識して投げているんだろうな、と思いながら参考にしてきました」

 たとえば、憧れの投手のひとりに挙げる則本昂大(楽天)の動画は、こんな風に見るという。

「僕のイメージですけど、下半身で投げている感じがすごくあるのと、肩甲骨を柔らかく使っている。だから、あれだけ力があり、回転数の多いボールが投げられるのかなと。少しコースが甘くなっても、キレと球威で空振りやファウルの取れるストレートが理想です」

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