ドラフト前日。「12球団の思惑」をベテランスカウトが読み切った (4ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 このスカウトとの会話のなかで、話題に上がったのが履正社のスラッガー・安田尚憲

「極めて順調に成長していて、人間的にもしっかりしている。ただ、あくまで私の見方では、安田のバッティングをAランクとするなら、清宮はSランク。なので、清宮の1位指名を考えている球団が指名回避してまで安田にいくとは考えにくい。(清宮を)指名回避するなら、安田ではなく投手にいくと思います」

 スラッガーでもうひとり、注目を集めているのが東京六大学の秋のリーグ戦で5試合連続本塁打の新記録を更新した岩見雅紀(慶應大)だ。

「秋の活躍で24人(2位指名以上)に入ったと思います。体型もバッティングの雰囲気も、イメージは李大浩(イ・デホ)。とらえた打球はピンポン球みたいに飛んでいく。守りに不安はありますが、ドラフト直前の印象はすごく大事。そこでこれだけアピールできれば、一気に12人(1位指名)に入るかもしれません」

 安田にしろ、岩見にしろ、清宮の外れ1位という可能性は十分にあるという。

 そもそも9月22日、進学も囁かれていた清宮が「プロ入りを表明」したところから今年のドラフトは本格的に動き出した。もし、清宮が進学を表明していたら、今とはまったく違うドラフトの景色になっていたはず。そう考えると、やはり"清宮次第"のドラフトと言えるだろう。

 今年で53回目を迎えるドラフトは、明日の17時に幕を開ける。果たして、どんなドラマが待っているのだろうか。その成り行きをしっかりと見届けたい。

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