ドラフト前日。「12球団の思惑」をベテランスカウトが読み切った (3ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

「田嶋のほかでリスクが少ないと思うのが東。鈴木博志あたりは大化けの可能性を感じるストレートを持っていますが、変化球の精度はもうひとつだし、調子にムラもある。即戦力のイメージでは獲りにくい。全体を見ても、今年のドラフトは1位にふさわしい12人がすぐに浮かびません。正直、力を持った選手が少なく、『それなら清宮を指名しよう』という考え方もあります」

 柳田悠岐(ソフトバンク)、田口麗斗(巨人)、畠世周(巨人)、山岡泰輔(オリックス)など、広島出身選手の他球団の活躍も目立ち、今回は松田元オーナーの決断で中村の1位指名を決めたのが広島。ただ、前出のスカウトはこう語る。

「楽天が(中村を)指名する可能性もあると思います」

 捕手としてすぐ一軍起用とはいかないだろうが、嶋基宏の後継者として、また右の中軸候補として、たしかに楽天が興味を持っても不思議ではない。

 残りは西武と中日。シーズン2位ながらクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージで敗退した西武も、チーム事情を考えると計算できる投手がほしい。菊池雄星が近い将来、メジャー挑戦となると、田嶋の指名も十分にあり得る。ただ、これまで重複指名に果敢に挑み、クジを引き当ててきた渡辺久信シニアディレクターの雄姿を思い出すと、清宮で勝負するのでは......という可能性も捨てきれない。

 中日は、今のチームを見るとすべて足りてないのが現状だ。当初観客動員を考え"清宮指名"の気配もあったようだが、先のスカウトは「投手を指名するのではないか......そんな空気を感じています」と言った。

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