スカウトが「書かれちゃ困る」と秘匿するドラフトの隠し玉が5人いた (3ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Jiji photo

 隠れているといえば、こんなところにいたのか......と驚いたのが、BCリーグの石川ミリオンスターズでプレーする投手・寺岡寛治(180センチ85キロ/右投右打24)だ。

 昨年、社会人野球の九州三菱自動車でライトを守っていたときに見た、三塁と本塁への返球は凄まじかった。定位置よりもうしろから、ダイレクトにライナー軌道の送球がそのままバックネットに突き刺さることもあった。

「どんな肩をしてるんだ!」

 精度はもうひとつだが、地肩の強さは間違いなくアマチュア球界でナンバーワン。それが今年、BCリーグのマウンドに上がり、セットアッパーとして立て続けに150キロ台のストレートを投げ込んだときも、半分驚きながらも「彼ならありそうだわ......」と妙に納得したものだ。

 元々、強烈な投手志があり、マウンドから全力投球したくて独立リーグに入団したという。なるほど、嬉々として腕を振っている。積もり積もった"投手への思い"を発散させながら投げている。150キロというスピードより、これだけ投げることに飢えていたことに大きな魅力を感じている。

 相手がストレートとわかっていても、簡単に当てられるような球ではない。特にベルトより上のボールゾーン付近のストレートは、全盛期の藤川球児(阪神)を彷彿とさせる。

 最後にもうひとり、亜細亜大の高橋遥人(179センチ85キロ/左投左打)も、トップクラスの潜在能力を隠し持ったサウスポーだ。常葉菊川高(静岡)時代からのしなやかさに、大学で強さが加わり、軽く腕を振っているように見えて、150キロ台をさりげなくマークする。こんな快速サウスポーはプロにもそうはないない。

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