スカウトが「書かれちゃ困る」と秘匿するドラフトの隠し玉が5人いた (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Jiji photo

 捕ったボールをすぐ送球できるメカニズムも、今の時代では貴重。特に最近は、捕球したあと両手を広げるような動作で間をつくってから投げる内野手が増えている。その点、広澤は捕球してからワンステップで投げる。さらにスローイングも、今の高校生ではなかなか見かけないスナップスロー。これができるだけでも、かなりの"守備名人"と見た。

 フィールディングのうまさなら、健大高崎(群馬)の遊撃手・湯浅大(170センチ68キロ/右投右打)も忘れてならない存在だ。

 どんな打球に対しても自分のタイミングで捕球できる感覚のよさ。一塁への送球も、カットプレーでのロングスローでもストライクしか見たことがない。素早い身のこなし、プレーの確実性、おまけにチームをまとめられる統率力も頼もしい。

 確かに体は小さいし、バッティングも課題は山積みだ。しかし、突き抜けたセンスを持った天才肌であるのは間違いない。

 この"フィールディング名人"は、本来なら隠し玉ではなく、バリバリのドラフト候補だった。それが今年2月、練習中に右手首を骨折。春のセンバツには出場できず。なんとか夏は間に合ったが、持ち前のプレーを発揮できぬまま終わってしまい、すっかり"隠れた存在"になっていた。春から夏にかけてのブランクが長かったので、進学か就職か、いずれにしてもワンクッション置くだろうと思っていた。それが「プロ志望届」を提出したものだから驚いた。

「しめしめ」と思っている球団はあるはずだ。それほどに、湯浅の野球人としての能力は素晴らしい。

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