体育会系には見えない170cmのドラ1候補・東克樹はここがすごい (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Kyodo News

 そしてもうひとつ、左ヒジ痛により登板できなかった2年秋をポイントに挙げた。

「治療やトレーニングによってヒジの不安がなくなったのもそうですけど、下半身を徹底して鍛える時間をつくれたことが大きかった。土台がしっかりしたことでストレートの球速はもちろん。質も上がったと思います」

 それまで最速146キロだったストレートは、152キロにまで達した。持ち味のストレートは速さに加え、独特の球筋も大きな武器だ。身長170センチの小柄な体を仰向け気味に三塁側に倒しながら腕を振るためリリースポイントが高く、2010年に甲子園で春夏連覇を達成した興南高校のエース・島袋洋奨(現・ソフトバンク)を彷彿とさせる。

 東も「言われてみれば......」と頷いたが、何より重なるのがストレートの角度だ。腕を真上から振り下ろし、左打者の内角に入ってくる"逆クロス"が素晴らしい。右打者のアウトコース、左打者のインコースにボールを制球できることは、今後の活躍を占う上で大きなポイントになる。この東の持ち味について、後藤昇監督が説明する。

「普通の投手より、東は開き気味にステップしてくる分、逆の(クロスの)角度もある。ただ、以前は左投手特有のクロス(右打者のインコースに入ってくる球)がもうひとつでした。それで、ステップを少し内側に入れて、ボールをできるだけ前で離してクロスの球筋が出るようにやってみたんです。すると、その意識が強すぎて、手だけで引っ張ろうとするからヒジを痛めてしまって......。だから、一からトレーニングをやり直したんです。そうしたら3年になって、クロスに強い球がいくようになって、今年はスライダーのキレもよくなった。横の幅を広く使えるようになったことが大きかった。上(プロ)でもやれるイメージが私のなかにも広がりました」

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る