谷繁元信が中村奨成に贈る、「高卒ドラ1捕手」がプロで生き抜く方法 (5ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 内ヶ崎誠之助●写真 photo by Uchigasaki Seinosuke

 さらに、こう続ける。

「中村くんは、いまでも一軍の試合に出られるとは思いますが、1年はもたないと思います。高卒1年目で規定打席に達したのは、清原(和博)さんや立浪(和義)さんまで遡(さかのぼ)らないといけない。僕は1年目に80試合に出ましたけど、負け試合の最後の1〜2イニングがほとんどで、たまに先発で出るという感じでしたから」

 そして谷繁氏は「運も実力のうちと言いますが、どの球団に入るのか楽しみですね」と言って笑った。

「僕の場合、当時の大洋(現・横浜DeNA)は弱かったし、捕手も足りませんでした。だから、ずっと一軍に帯同して、試合にも出ることができた。逆に、常勝を義務付けられ、キャッチャーが固定されているチームであれば、とにかく二軍で試合に出続けた方がいい。いま思うと、僕は本当に運がよかった。監督、コーチ、先輩方にも恵まれました。最初に入団したのが大洋じゃなかったら、3000試合出場も2000本安打もなかったと思います」

 年齢を重ねることでわかってきたことがあります。プロ野球選手としての生活って、人生のうちのほんの一部なんですよ。だから、その時間は死に物狂いで野球に取り組んでほしい。これだけ長いことプロの世界でやってきましたが、それでも『もっとやればよかった......』と思うんですから。『もうこれ以上は無理』というまでやってほしい。簡単なようですごく難しいことなんですけどね」

 中村はプロ表明会見で、特定の球団を希望することなく、「自分を厳しく指導してくれる球団に選んでいただけるとありがたい」とコメントした。果たして、中村は正真正銘の"打てる捕手"になれるのだろうか。今はドラフト当日が待ち遠しい。

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