谷繁元信が中村奨成に贈る、「高卒ドラ1捕手」がプロで生き抜く方法 (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 内ヶ崎誠之助●写真 photo by Uchigasaki Seinosuke

 ようやくプロの世界に真正面から向き合った谷繁氏が、最初に取り組んだのが体力づくりだった。

「いくら高校で毎日練習していたからといって、プロで通用する体力ではありません。2月のキャンプを1カ月乗り越えたとしても、シーズンを通しては絶対にもたない。最初の1、2年はシーズンが終わったら、ぐったりでした。何年かやり続けて、ようやくペースがわかり、慣れてくるんです。そこからキャッチング、スローイング、ブロッキングを身につけ、ようやくバッティングです。中村くんのバッティングを見ましたが、素晴らしいものを持っています。あとはもう少し体力がつけば、もっと安定してくると思います」

 さらにプロの世界、特にキャッチャーは「頭の体力」も必要になり、そのためには24時間をいかにうまく使えるかが重要だと谷繁氏は言う。

「自分のチームの投手の球種、特徴をすべて覚えないといけないし、相手チーム打者の情報も必要になってきます。とにかく、捕手は覚えること、やることが多いんです。たとえばキャンプでも、ブルペンに入ったり、ピッチャーに付き合ったりしないといけないので、十分にバッティング練習ができない。その不足分を全体練習が終わったあとにやらなければならない。僕はそうした時間の使い方に気づくのが遅かったので、レギュラーになるのも遅かったんです。中村くんには、無駄な時間を少なくしてもらって、1日でも早く一軍で活躍してほしいですね」

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