名コーチが論証。清宮、中村が打てなかった原因は木製バットじゃない (4ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • 田口有史●写真 photo by Taguchi Yukihito

《そして今回、最も多くの指摘を受けたのが、金属バットと木製バットの違いである。今回に限ったことではないが、木製バットへの対応に問題はなかったのだろうか?》

 最近の高校生は試合でこそ金属バットを使うが、日々の練習では木製バットを使う学校が増えていると聞く。はたして、今回の代表メンバーのなかに初めて木製バットを使用した選手はどれだけいたのだろうか。高卒の選手がプロに入るときにも同じ話題になるが、ほとんどの選手が時間は要しても木製バットに対応している。つまり、もう特別なことではないということだ。

 とはいえ、では木製のバットを使いこなしていたかといえば、そうじゃない。気になるのは押し込む側の手(右打者なら右手、左打者なら左手)の使い方だ。金属バットの場合、しならせるというよりはガツンとぶつける感じで打つ選手が多い。そのとき、無意識に押し込む側の手の力が勝ってしまい、スイングする際に早く被ってしまうのだ。そうなると、インパクトの前に手が返ってしまうため、打球は飛ばないどころか、引っかけたゴロになるケースが多い。

 清宮くんの右方向へのゴロは、ほとんどがこの打ち方になっていた。ほかの打者も同様だ。そのなかで、安田くんや櫻井(周斗/日大三)くんは、比較的柔らかくバットが使えていて、押し込む手の返りが遅く、きれいに振り抜けていた。プロのスカウトたちも、そうした点を評価基準にしていると思う。

 いずれにしても、海外の優れた投手と対戦した経験は、いい薬になったのではないだろうか。特にアメリカの投手が投げるボールは、「上には上がいる」ことを思い知らされたに違いない。「井の中の蛙」では伸びるものも伸びない。順位だけを見れば残念な結果に終わってしまったが、若い選手たちにとっては意味のある大会だったと思う。

(つづく)

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