あの宇部商「サヨナラボーク」の真実を、
捕手・上本達之が明かす

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • photo by Kyodo News

──あのボークのことが、かつてのチームメイトの間で話題にのぼることはありますか。

上本 9回裏、無死一塁、三塁の場面で一塁ランナーが盗塁したとき、僕が二塁に送球したせいで同点に追いつかれました。そのことについては、いつも同期のみんなに怒られます。自分でアウトにして目立ってやろうという色気がありましたからね。でも、ボークのことは言われません。

 入学したときに「どうしてこんなに厳しいところに来たんだろう」と考えたこともありましたが、甲子園に出て、その後、プロ野球選手になれたのも宇部商業に入ったから。監督やコーチやいろいろな人にお世話になったおかげです。甲子園で負けはしましたが、これだけ多くの人に覚えてもらって、うれしいですね。僕の野球人生にとって、大きな意味を持つ試合です。


上本達之(うえもと たつゆき)
1980年、山口県生まれ。宇部商業3年時に夏の甲子園に出場。社会人野球の協和発酵を経て、2002年ドラフト6巡目で埼玉西武ライオンズに入団。2005年に一軍デビュー。2010年には91試合に出場し、打率2割6分4厘という成績を残した。2016年は代打として打率3割をマーク。チームでは野手最年長として存在感を発揮

■高校野球 記事一覧>>

6 / 6

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る