山﨑武司も絶賛の165cm、盛岡大付・植田拓はプロでもフルスイング (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 強大な敵に対して植田が反骨心をむき出しにするのは、自身の体型に対するコンプレックスと無縁ではないだろう。身長165センチ、体重73キロ。高校3年生の平均身長は約171センチと言われるが、その平均値をかなり下回っている。にもかかわらず、植田は今大会屈指の強打者として注目されている。高校通算本塁打は60本。甲子園でも2年夏から2季連続で本塁打を記録している。

 プロ通算403本塁打を記録した野球解説者の山﨑武司(元中日ほか)は、春のセンバツでの植田のスイングを見て、こう賞賛した。

「体は小さいけれど、バットをよく振りこなせる選手ですね。個人的には好きな打ち方です」

 植田が打撃で大切にしていることは「インパクトにスイングの最大のスピードと強さを持っていくこと」だという。そのために、バットのヘッドの力を最大限利用しようと考えている。

「ヘッドを使う考え方は野球を始めた頃からずっと変わっていません。野球好きのおじいちゃんに『逆方向に打てるようになれ』と言われて、その練習をしてきました。ヘッドがしならないと飛ばないですから」

 近年、プロ野球では小柄な強打者の活躍が目立っている。先頭打者本塁打を量産している茂木栄五郎(楽天)は身長171センチ、猛烈なフルスイングが光る吉田正尚(オリックス)は身長173センチ、今季はケガで離脱しているものの高校時代から天才的な打撃センスを発揮する森友哉(西武)は170センチ。いずれも、全身を使うフルスイングが特徴的だ。

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