バットを刀のように。花咲徳栄の
「サムライ」西川愛也が放つ必殺打撃

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 今夏、西川のスカウト評価は急上昇している。埼玉大会では7試合で5割の打率を残し、放った4本塁打のうち2本塁打が快足を飛ばしたランニング本塁打ということが話題にもなった。注目度が増した影響か、大会中には寮で西川のユニホームがなくなり、外部犯による盗難が疑われる事件も発生した。

 西川は甲子園に愛されている。1年秋は公式戦わずか6打席の控え選手だったにもかかわらず、当時の4番打者が故障したため2年春のセンバツは「代理4番」に抜擢。秀岳館(熊本)を相手にいきなり2安打2打点を放った。2年時は春夏合わせて甲子園で4試合を戦い、14打数8安打、打率.571と抜群の相性を誇っている。西川も「甲子園はボールがよく見えるので、いいイメージがあります」と語る。

 3年生になって初めての甲子園初戦・開星(島根)戦では、1回表、一死三塁のチャンスで打順が回ってくると、初球を引っ張り一、二塁間を抜く先制タイムリーを放った。まさに「いとも簡単に」とはこのことを言うのだろう。それくらいあっさりとヒットを放ってみせた。

 試合後、西川は「簡単ではないです」と苦笑しながら、自身の打撃観を語ってくれた。

「一番大事なのは力まないことだと思います。力んでいては思うようにプレーできないので、そこは心がけています。あとは自分の間(ま)で、自分のポイントでとらえること。相手(投手)に合わせずに、自分の間に呼び込むことを意識しています」

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