清宮、安田だけじゃない。「甲子園に出られない」プロ注目のスラッガー (3ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 また、将来プロ野球でスラッガーになれる素質を持ったふたりの選手も紹介したい。

 まず、山形中央の外野手・大泉周也(3年/175センチ、85キロ/左投左打)だ。丸太のような二の腕をした選手を久しぶりに見た気がした。920グラムの金属バットを軽々と振り抜くと、その猛烈なスイングからライト方向へとんでもない打球が飛んでいく。

 高校通算50本以上の本塁打を打ちまくって迎えた今夏。チームは山形大会決勝まで進んだが、日大山形に16点を奪われ完敗。それでも大泉はセンターに意地の一発を叩き込んで高校野球生活を終えた。高校通算53本目のアーチは、まさに完璧といえる一発だった。

 大分雄城台の外野手・梶原昂希(3年/186センチ、83キロ、右投左打)は、もしかするとソフトバンクの柳田悠岐二世になれる器の逸材だ。

 このサイズで50メートルを6秒フラットで走り、ライナー軌道で70メートルほど投げられるのだから、体の強さはずば抜けている。1年夏からレギュラーとなって以来、公式戦の打率は5割に迫る。緊迫した場面でコンスタントに打てるところも、柳田を感じさせる要素だ。今はほとんど無名の"大分のスラッガー"だが、5年後には間違いなく夢を結べる逸材と見ている。

 あの柳田だって、広島商業時代はおろか、広島経済大で4番を打っていたときも、全国的には誰も知らない"広島のスラッガー"だったのだ。

 甲子園出場は叶わなかったが、彼らの野球人生はまだまだ続く。この悔しさを次のステージでぶつけてほしいと願う。

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