昨年準優勝の北海・大西健斗が語る「甲子園で負けてよかったこと」

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • photo by Kyodo News

 今年もまた、夏の甲子園の季節がやってきた。都道府県を勝ち抜いた49校が、日本一を目指して熱い戦いを繰り広げる。頂点に立つ王者以外、48チームは涙を飲んで聖地を去ることになる。しかし、高校野球が見る者の心を打つのは、全力を尽くしながら敗れた選手たちがいるからだ。

 昨年、名門・北海高校のエースで主将をつとめた大西健斗は『敗北を力に! 甲子園の敗者たち』(岩波ジュニア新書)で昨夏の戦いについて詳しく明かしている。22年ぶりとなる初戦突破からの快進撃で決勝まで勝ち進みながら、その決勝で作新学院の前に力尽きた。「甲子園の敗者」はあのとき何を考えたのか? 

作新学院との決勝戦、4回のピンチでマウンドを降りる北海の大西(右)作新学院との決勝戦、4回のピンチでマウンドを降りる北海の大西(右)
あのマウンドに立たないと甲子園が嫌な思い出になる

――2016年夏の甲子園。北海は、エース・大西投手を中心に一戦ごとに力をつけていった印象があります。大西投手にとっては二度目の甲子園出場でした。

大西 はい。前の年に甲子園に出ています。でも、先輩たちがすごく強くて、甲子園に連れていったもらった感じでした。甲子園では他校の選手の体の大きさ、分厚さに圧倒されました。

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