大阪桐蔭とガチで打撃戦。府立校・大冠は地元中学の軟式出身者が主役 (3ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Kyodo News

 大冠で指揮をとって20年を超えた。公立校で20年以上も同じ学校で指導することは珍しいが、大阪の高校では橋下徹知事の時代に、"指導教諭"というポジションが定められ、東山監督はこの昇任試験に合格。その時点で大冠での勤務が13年だったが、一旦リセットされ、あらためて採用のかたちとなったために長期の指導が実現した。それが今回の戦いにもつながったのだ。

 近年では、2014年春に大商大堺、上宮太子、PL学園といった強豪私学をすべて1点差で下し大阪3位となった。一昨年も、最後はその夏の代表校・大阪偕星学園に準決勝で敗れるもベスト4入りを果たすなど、着実に力をつけてきた。

 今年のチームは、昨年秋は5回戦、春は3回戦で敗れたが、センバツ帰りの履正社を練習試合とはいえ11対9で下すなど、力は秘めていた。この夏の戦いを振り返っても、8試合で99安打、63得点とバッティングのチームらしい戦いを見せた。はたして、近年のチームカラーとなった強打はどのようにつくられてきたのだろうか。

 これまで2002年と2014年の2回、大冠のグラウンドを訪ね、じっくりチームを取材する機会があった。最初に訪ねたとき、東山監督は投手力を含めた守りについて多くを語ったが、2度目のときは「打たないと大阪は勝ち切れない。今は練習の7割がバッティング中心」とはっきり語っていた。理由は明快だった。

「春や秋も含め、ベスト8や16に入るようになりましたが、そこから3つ、4つ勝つには、打たないとダメだとわかったからです」

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