早実を撃破で甲子園。東海大菅生バッテリーが「勝利の配球」を明かす

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 優勝監督インタビューでの若林弘泰監督のコメントが、すべてを物語っていた。

「二強、二強と言われてきて、早実さん、日大三高さんばかりが騒がれていたんですけど、この2チームを倒したので、西東京代表として堂々と甲子園で日本一を狙っていきたいと思います!」

 まるでこれまで溜め込んだフラストレーションを一気に吐き出すような痛快なコメントに、東海大菅生スタンドは大いに沸いた。

清宮幸太郎を擁する早実を破り、17年ぶりの甲子園出場を果たした東海大菅生清宮幸太郎を擁する早実を破り、17年ぶりの甲子園出場を果たした東海大菅生 大会前は早稲田実、日大三に注目が集中していた上に、東海大菅生は過去3年連続で西東京大会準優勝という「シルバーコレクター」でもあった。そんな東海大菅生は準々決勝で日大三に5対0、決勝では早実を6対2と「完勝」と言っていい内容で下して、17年ぶりの甲子園出場を決めた。

 優勝の原動力になったのは、投手陣の大黒柱へと成長した松本健吾ということは間違いない。そして、その好投を引き出したのは、正捕手を務めた鹿倉凛多朗(しかくら・りんたろう)だった。

 準々決勝で日大三を破った試合後、鹿倉の話を聞いていて思ったことがある。それは「こんな捕手がいるチームは強いだろうな」ということ。マウンド上で華やかに躍動する投手とは対照的に、鹿倉は強肩ながら取り立てて打撃力が光るわけではなく、地味な役回りだ。それでも、そのリードにはいつも明確な根拠があった。

「いつもピッチャーたちに『このコースにこの球種が欲しい』と言って、練習してきました。試合中の場面を想定して、どう打ち取るかを考えながら、いろいろと試しています。大会前の練習試合でも強い相手に通用したので、配球には自信がありました。今日(日大三戦)は松本がしっかり放ってくれました」

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