元ヤン主将の涙が変えた!茨城・総和工がチーム一丸で目指す甲子園 (3ページ目)

  • 高木遊●文・写真 text&photo by Takagi Yu

「教師って正論ばかりぶつけてくるイメージが中学まではあったのですが、鈴木先生はそうではなくて、悪い奴だからってそういう扱いはしないし、誰にでも同じように接しくれます」(大竹)

 そして、大竹の成長を象徴する出来事が沖縄での涙だった。どこか本音をぶつけ合うことを避けていたチームにとって、ターニングポイントにもなった。

「大竹が一番チームのために行動しているのはわかっていたので、"あいつがこれだけ悩んでいるなら、みんなで支え合っていこう"という雰囲気にもなり、そこからはみんなで、本音で、本気でミーティングをするようになりました」(鈴木健修)

 こうして結束したチームは、春の茨城大会で快進撃を見せる。地区予選を突破し県大会に進むと、1回戦で2015年夏の県準優勝校・日立一に13対6でコールド勝ち。これで勢いに乗ると、2回戦では土浦日大に5対4で勝利し、8強入りを果たす。準々決勝で霞ヶ浦に0対4で敗れたが、夏のシード権を獲得。これまで練習試合では甲子園出場校に勝ちながらも、公式戦になるとひ弱さを見せていたチームがガラリと変わった。厳しい練習で培った技術と、明るくのびのびとした雰囲気を大会で遺憾なく発揮した。

 今春の大竹は左肩痛の影響で本来の投球はできなかったが、その穴を長谷川が見事に埋め、打線もつながった。それをベンチから大きな声を出して鼓舞(こぶ)し、得点時や好プレー時は屈託のない笑顔で選手たちを迎え入れる大竹の姿は、中学時代とは180度異なるものだった。

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