北から南から国立から。立教Ⅴの陰で、野球は「地方大学」がすごい! (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 また、ベスト8に食い込んだ岐阜経済大は初出場とはいえ、近年レベルアップが著しい東海地区大学リーグを制した実力のあるチームだった。なにしろ、昨年の大学選手権を制したのは同じリーグの中京学院大(岐阜県)なのだ。

「リーグ戦で全国レベルを感じることができるので、全国大会でも緊張せずに自分たちの野球ができました。投手力は全国でも通用したので、あとは打撃を磨けたらベスト8以上に行けると思います」(岐阜経済大・下里駿介)

 国立大学の和歌山大も、近畿学生リーグで15連覇中だった奈良学園大にストップをかけての出場。大会ナンバーワン右腕と言われた近藤弘樹を擁する岡山商科大(中国六大学)に勝利して、ベスト8入りした。

「神宮でプレーして、もっと『おっ』となるかなと思ったのですが、そこまで感じませんでした。個々の力の差はもちろんありますが、そこを考えていたら勝負にならない。名のあるチームでもつけこめるスキはあったので、勝負できるとあらためて感じました」(和歌山大・眞鍋雄己)

 このように地方リーグ勢が奮闘した要因のひとつに、大会がリーグ戦ではなくトーナメント方式であることも挙げられるだろう。優勝した立教大の主将・熊谷敬宥はこう証言する。

「リーグ戦は勝ち点を取ればいいので、1回負けてショボンとしていたらチームの雰囲気が悪くなるし、負けを引きずらないで切り替えなければいけません。今年はリーグ戦で15試合も戦いましたし、トーナメントに比べれば気は楽でした。でも大学選手権は1点の重みや1球の怖さ、プレッシャーを感じながら戦っています。その難しさはありますね」

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