「選手強化しても勝てなかった」立教大を18年ぶり優勝に導いたもの (4ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 選手の能力だけで野球には勝てない──。

 横山も、優勝争いで敗れるたびに、その違いを痛感させられたひとりだ。

「あと1勝というところまで明治を追い詰めても、選手からそこまで強い気持ちを感じなかった。どこかで『負けるんじゃないか......』と思っていたのかもしれない。これまでは、今シーズンほどの執念、勝ちたいという気持ちは見えなかった。でも"あの試合"で立教が変わったように思う」

 あの試合とは、この春の明治との3回戦。ここで勝たないと、立教の優勝の可能性は限りなく少なくなる。延長12回までもつれた試合に決着をつけたのは、4番打者の笠松悠哉だった。彼も大阪桐蔭の優勝メンバーのひとりだ。

「個々の選手の力は重要だけど、勝ちたいという気持ちでひとつになったときに強さを発揮するということを、改めて教えてもらった。サヨナラヒットを打った笠松はもちろん立派。そのチャンスをつくった選手たちの頑張りがまた見事だった。一人ひとりに執念があって、次のバッターにつなぐんだという思いがバックネット裏まで伝わってきた。

 正直言って、立教の打者があれだけの気持ちを持って投手に向かっていけるとは思っていなかった。本当に久しぶりにのめり込んで野球を見たね。『一丸になる』と言葉で言うのは簡単だけど、実際には難しい。あのときは、グラウンドにいる選手もユニフォームを着ていない部員も同じ気持ちだったと思う」(横山会長)

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