「選手強化しても勝てなかった」立教大を18年ぶり優勝に導いたもの (3ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 確かにここ数年は、2010年に甲子園春夏連覇を果たした興南から入学した我如古盛次(現東京ガス)と大城滉二(現オリックス・バファローズ)、大阪桐蔭が春夏を制した2012年優勝メンバーの澤田圭佑(現オリックス・バファローズ)らの活躍によって、優勝争いに絡むようになった。

「ほかの大学のようにドラフト候補生が入ってくるわけではないけれど、甲子園で勝ち上がった経験のある選手が毎年2、3人加わることで、チームがレベルアップしたことは事実。それまでは甲子園で優勝した選手が立教のユニフォームを着ることなんて、ほとんどなかった」(横山会長)

 ただ、優勝争いはできても、その先は遠かった。昨年までエースだった澤田は大学4年間で通算22勝をマーク。昨年のトップバッター佐藤拓也(現JR東日本/浦和学院)も、その前年まで1番に座っていた大城も通算100安打を達成したが、チームは優勝に届かなかった。

 東京六大学を制するためには、選手に相応の能力や経験が必要なのはもちろんだが、それだけで優勝することはできない。ここ数年、立教の優勝を阻んできた若い明治OBのひとりは両校の違いについてこう語った。

「立教と明治では、普段していることが違うんじゃないですか。それが最後の最後で勝負を分けるんです」

 彼らの言葉で言えば「人間力」になるのだろう。一般的には執念とか、粘りとか、勝ちたいという思いとか、そういうものの差だ。

3 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る