2017.06.09

ベンチも爆笑の天然系。仙台大の
豪腕投手がドラフト上位候補に急浮上

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko

 体調を崩し、マウンドは1カ月半ほどブランクがあったという。それでもこれだけのボールを投げられるのだから、持っているものは間違いなく一級品。

 4球目は逆球になった。ただ、ボールの威力は落ちていない。止めにいっているはずのミットが勝手に持ち上がる。

「澤村だな......」

 もう何年前になるのだろうか。中央大の薄暗い室内練習場で受けた澤村拓一(現・巨人)の破壊力満点の剛速球を思い出した。

 183センチ、85キロの巨体を、そのままこっちへぶつけるように投げてくる。正真正銘のパワーピッチャーだ。ストレートを投げるにしても、10の力をすべて使わないと気が済まない投手なのかもしれない。

 続いてカットボール。スッと音もなく沈む。それもホームベースの上。おそらく打ち取られたバッターは、どんな球種でやられたのかわからないだろう。カーブ以外の変化球は、あまり大きく動かない方がいいと思っている。わからないように動くのが、ベストの変化球だと......。

 そしてフォーク。落差よりも、チェンジアップのようにタイミングを外すのに効果的な球だ。自信満々でフルスイングしてくる強打者に効くはずだ。

「緊張しました......」

 帽子からユニフォームまで、全身汗でずぶ濡れになりながら発した意外なひと言。

「こっちがヘタだから、気を遣った?」

「いえ、テレビのカメラが回っていたので......」

 そういえば、地元のテレビ局も馬場のピッチングを撮影していたのだった。