ベンチも爆笑の天然系。仙台大の豪腕投手がドラフト上位候補に急浮上 (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko

 ひっくり返った瞬間のベンチの反応を見ても、先輩、後輩関係なく、みんなに愛され、慕われているのがはっきりと伝わってきた。

 そんな馬場のボールを受けてみたい......。この試合以後、ずっと思っていたのだが、この春、その望みがようやく叶った。

 冒頭の試合では、まだボールも荒れており、逆球も目立ち、ボールとストライクもはっきりしていて、ピッチングに"幼さ"を感じていた。

 それがこの春のリーグ戦では、12奪三振での完封が2試合続き、四球もそれぞれ4個、1個と安定。防御率0.33は堂々のリーグ2位。球速も自己最速となる155キロをマークした。

 テイクバックは小さく、頭の後ろで軽くタメをつくる独特のリズム。トップの右手の位置が高く、そこから一気に右腕を振り下ろすそのスピードが恐ろしく速い。このリズムは、昨年のドラフトで慶応大から広島に1位指名された加藤拓也と重なる。

 ただし、腕を振る際の軌道が違う。

 加藤は腕を大きくスイングさせて、頭の上で遠心力をフル活用した軌道だったのに対し、馬場は右腕をしなやかにたたみ込み、顔の前で鋭く腕を振るイメージだ。

 立ち投げは、ほぼ構えたミットにピンポイントでくる。逆スピンの回転が実に素晴らしい。室内練習場に轟(とどろ)く捕球音にテンションも上がる。

 腰を下ろし、右打者の外に構える。スパイクが踏まれているのはプレートの三塁側。そこから一気に、タテにもヨコにも角度のついたボールが構えたミットに突き刺さる。サウスポーで言うなら"クロスファイアー"の球筋だ。

「ナイスボール!」

 最初からいきなりアウトローにベストボールがきた。そこから続けて3球同じボールを投げ込んできた。

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