神奈川の夏を熱くする高3右腕。強豪封じにスカウトも名将もニンマリ (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 秋の県大会で5試合すべてに完投し、そのなかに26イニング無失点があった。3回戦の鎌倉学園戦では延長15回で21三振を奪い、引き分け再試合となった翌日は4安打、13奪三振で完封。空振りを奪えるストレートの威力と、連投にも耐えうるタフな心身を証明してみせた。

 彗星の如く現れたそんな右腕の成長を、この春、みんな期待していた。

「今年は逸材が少なそうだ......」という見込みが関係者の間に浸透していて、楽しみにしていた数少ない選手のなかのひとりが、練習試合とはいえ、全国に名の知れた強豪校を相手に7回を無失点に抑えたのだから、評価が一気に跳ね上がった。それがセンバツ前のことだった。

 その後、春の県大会でもほとんどひとりで投げ、日大藤沢、慶應義塾といった神奈川の強豪校を次々と撃破し、気がついたらベスト4にまで進出していた。

 いったい、本田のどこが素晴らしいのか?

 ひとつは、アウトコース低めが打者の目から遠くて打ちにくいことを、本人がよくわかっているような投げっぷりだ。スピードばかり欲しがる投手が多いなか、高校生でこれほど"アウトロー"を執拗に突いてくる投手を見たことがない。

「自分としても、まずコントロールなんです。狙ったところにピンポイントに投げられるコントロールがあって、そのなかでスピードも伸ばしていければいいと思っています。それが"勝てるピッチング"につながると思うんで......」

 球速帯が140キロ前後から145キロ前後に伸びた今でも、その心がけは変わらない。それこそが、本田のコンスタントなピッチングを支えている。

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