ふたりの早実4番打者に見る、清宮幸太郎の幸福なスラッガー人生 (4ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 逆に、清宮は野村のインサイドアウトのスイングを身につけた。たとえば、引っ張ってライトに大きな飛球を放ったとき、昨年までならファウルになっていたが、今年は切れずにスタンドインすることが多くなった。

 自らのバッティングの崩れを、遠回りしたスイング軌道にあると気づいた清宮が、野村のインサイドアウトのスイングを教材にしたのだろう。

 どんな逸材決してひとりでは"怪物"にはなり得ない。ライバル、指導者、チームメイト......必ず強烈な刺激を与えてくれる誰かがいて、初めて潜んでいる能力が引き出されるのだ。

 加藤と野村──ふたりの4番が清宮を育て、同時に清宮もこのふたりを育てていた。ものの見事に3人を成長させた相乗効果。清宮の"すごさ"はすでに多くのメディアで伝えられているが、こうした"出会い"のなかにも、彼の持っているすごさを感じてしまう。清宮という野球選手は「何十年にひとりの逸材」というより、「唯一無二の存在」に思えて仕方がない。

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