春季大会にスカウトがゾロゾロ。無名の右腕が関東屈指の本格派に変身 (3ページ目)

  • 高木遊●文・写真 text&photo by Takagi Yu

 これには高橋監督も「"気づき"が遅かったですが、目的を持ってやれるようになりました」と話し、「大学行ってからでないとプロは厳しいかなと思ってきましたが、この春の驚異的な伸びを見ると、もう一回り、二回り成長していけば高卒でもプロに入れるのかなという段階にきました」と見方を変えたという。

 そして、この関東大会で遠藤は初めて背番号1を背負う。「エースナンバーを背負うということはチームだけでなく学校や町も背負うことだ」と高橋監督からハッパもかけられ、よりどん欲に高みを目指す。

 72キロに増量したとは言っても、端から見ればまだまだ細身の部類に入る遠藤。だがそれだけに大きな伸びシロを感じずにはいられない。「綾部より身長は小さいが、綾部以上の角度で投げられる」と高橋監督。視察に訪れたベテランスカウトからは「これから体重が増えるほど、スピードもついていきますよ」と言われたという。現時点で最速は142キロだが、まだまだスピードは上がってくるに違いない。

 霞ヶ浦の初戦は21日。同日の第1試合で早稲田実が花咲徳栄と対戦するひたちなか市民球場ではなく、水戸市民球場で行なわれる第2試合に登場する。相手は、ドラフト候補左腕・北浦竜次を擁する白鴎大足利。NPB球団スカウトも、ひたちなか市民球場ではなく、好投手対決が行なわれる水戸市民球場に多く集まるかもしれない。

 そんな独特の注目度のなかで、どんな投球を見せるのか。高卒プロ入りを目指す遠藤にとっては、大きな試金石となる一戦になりそうだ。

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