センバツで才能が開花。秀岳館・川端健斗は「世代最強左腕」となるか (2ページ目)

  • 加来慶祐●文 text by Kaku Keisuke
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 秀岳館で投手を指導する山口幸七コーチは言う。

「本当にどうしたんですかね。投げるたびに力強さが増していく。本格派になってきたというか、この甲子園で彼のポテンシャルが開花し始めているのを実感しています」

 特に作新学院戦は、苦しみながらも最後まで力で押し切る投球が印象的だった。山口コーチが指摘する。

「ここへ来て、遠投のボールが変わってきたんですよ。マウンドで投げているようなきれいな回転を維持しながら、70メートルぐらいまで伸びていくんです。その距離はまだまだ伸びています。そのあたりを試合でも表現できているのかもしれませんね」

 さらに興味深いのは球数だ。もともと制球力に定評のあった川端だが、高田商戦は8回を投げ125球、作新学院戦は2回1/3で72球、完投した健大高崎戦は145球を要した。それでありながら、奪三振率はイニング数を優に上回るなど、まさに"本格派"と呼ぶにふさわしい力強いピッチングを見せた。

 球数が多くなっている理由について、川端は次のように分析する。

「決して調子が悪いわけじゃないんです。むしろ調子はいいのかもしれません。以前より腕もしっかり振れているし、体重移動もうまくできている。ボールが速くなっているのが自分でもわかります。でも、リリースポイントにしても、フィニッシュにしても、バランスが今までと微妙に違い、投げ終えて三塁方向に(体が)流れるようなことはなかったのですが......」

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