大阪対決は大阪桐蔭に軍配。明暗を分けた「ボール1個分の対応力」 (2ページ目)

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

「内野が下がっていたのはわかっていました。追い込まれたら詰まっても内野ゴロで1点というのはありましたけど、最初から内野ゴロという考えはなかった。ヒット狙いで、最低でも犠牲フライという気持ちでした」(石田)

 カウント2−1はバッティングカウント。球種を絞って待てる場面だ。

「狙いは外寄りのまっすぐで、スライダーが浮いてきたら反応しようと思っていました。一瞬、(甘い)スライダーが来たと思って振ったんですけど、こすった感じで中途半端な打球になってしまいました」(石田)

 思い切りのいい石田が、バッティングカウントでフルスイングできない。これも外角に広いストライクゾーンの影響がないとはいえないだろう。

「『ボールかな』というのを(ストライクに)取られていた。広く、広くと思いすぎて、厳しい球に手を出していかないと思いすぎました。自分のスイングができなかった。最後まで対応しきれず、悔いが残ります」(石田)

 結果的には、ここで相手が「どうぞ」と言ってくれていた1点を取れなかったことが響くことになる。この後、安田の四球で二死一、三塁となるが、4番の若林将平はカウント1−2からの外角スライダーに手が出ず、見逃し三振で無得点。履正社は6回まで6個の三振を奪われたが、そのうち4個が見逃し。

 準決勝までの4試合で24三振を喫しているが、そのうち見逃しは5つだけだったことを考えると、完全にストライクゾーンに惑わされたといっていい。逆にいえば、広いストライクゾーンを有効に利用した大阪桐蔭バッテリーが巧みだった。

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