清宮フィーバーの陰で日米スカウトが感じた今センバツの「打低投低」 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 だが、意外にも2回戦は10試合(延長15回引き分け2試合を含む)で本塁打2本。東海大福岡対早稲田実、大阪桐蔭対静岡のように11対8と乱戦で決着がついた試合もあったが、意外と投手がしっかりとゲームメークする落ち着いた試合展開が続いた。

 今大会は本当に「打高投低」なのか――。目利きの評価を聞こうと思い、甲子園球場バックネット裏に集ったスカウト陣に尋ねてみた。だが、意外なことにみな一様に口が重い。そんななか、広島のベテランスカウト・苑田聡彦スカウト統括部長はこんな本音を明かしてくれた。

「今年はピッチャーに限らず、全体的に(有望選手が)少ないんですよねぇ......」

 年初に開かれた広島のスカウト会議では、異例の光景が見られたという。苑田スカウトが続ける。

「松田(元)オーナーも参加する会議で、選手の表を配って説明するんですけど、150人が終わったところで『以上です』と。オーナーも『苑田さん、今年はこれしかいないの?』と驚いとったからね(笑)」

 例年、年初のスカウト会議では300人前後の選手がリストアップされるため、今年は高校生を筆頭に、全体的にドラフト候補が少ないということになる。清宮、安田の存在感が際立ったこともあり「打高投低」と見られた今大会だが、スカウト陣の認識としては「打低投低」という残念なものだったのだ。

 アトランタ・ブレーブスの大屋博行スカウトは「高校野球のレベルが落ちている」と、危機感を口にする。

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