強肩、強打、好リード。福岡大大濠・古賀悠斗は本物の大会No.1捕手 (3ページ目)

  • 加来慶祐●文 text by Kaku Keisuke
  • スエイシナオヨシ●写真 photo by Sueishi Naoyoshi

 ピンチの場面で古賀は内角のストレートを要求した。三浦の場合、ギアをトップに上げるために必要なボールは「インズバ(インコースにスバットの意)」だ。本来の威力ではなかったが、古賀は小刻みに座る位置を変えるなど、できるすべての手を使いながら、三浦の実力以上のプラスアルファを引き出していった。

 5-3で勝利した再試合では、立ち上がりから三浦の直球が120キロ台から130キロ台前半と本来の状態から程遠く、ストレートを要求してもナチュラルに変化するなど、普段の三浦では考えられない軌道を辿った。

 しかし古賀は「かえって各打者はタイミングを失っている。だったらこのクセ球を最大限に生かして打たせて取ればいい」と、即座に新たな引き出しを用意して5回を82球でまとめている。

 5回に古賀が待望の甲子園初本塁打を放った後、三浦の球威は明らかに上昇し、球速も最速142キロにまで回復した。それまでは進塁打や犠牲バントなどチーム打撃に徹していたが、古賀の一発はチームと三浦を生かす最大の特効薬となり、初の春ベスト8入りを後押ししたのである。それでも試合後の古賀は、反省を口にした。

「リード面で評価できる点は何もない。自分がしっかり配球できていれば、無失点で終わっているはずですから」

 準々決勝の報徳学園戦は、ここまで475球を投げ抜いた三浦にとっては、まさに正念場。必死のリードを続ける古賀の戦いも、ここからがハイライトとなる。

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