強肩、強打、好リード。福岡大大濠・古賀悠斗は本物の大会No.1捕手 (2ページ目)

  • 加来慶祐●文 text by Kaku Keisuke
  • スエイシナオヨシ●写真 photo by Sueishi Naoyoshi

 創志学園の7番・金山昌平が高々と打ち上げた打球は深いセカンドフライとなった。これを捕球した二塁手・斎藤友哉は本塁へ送球するが、捕手の古賀はボールが斎藤の指を離れた瞬間に3歩ほど前進。さらにマウンド寄りの位置でボールを掴むと、躊躇なく三塁へ。三塁走者の得点は許したが、瞬時の状況判断で二塁走者のタッチアップ進塁は許さず、三塁で封殺。併殺を完成させて無死満塁のピンチを1失点で切り抜けたのだった。

 ベンチに戻った古賀に「あれでよかったのでしょうか」と尋ねられた八木啓伸監督も「ナイスプレー!」と絶賛。結果的にこの回を最少失点で切り抜けたことが大きかったと、八木監督は言った。

「古賀がフォア・ザ・チームの精神でやってくれました。あれだけの選手が自分を消してまで献身的にプレーしてくれる。特に捕手に転向後は、まわりを第一に考えるようになりましたね」

 昨夏の福岡大会終了後に遊撃手からコンバートされたばかりだ。八木監督は夏の練習試合すべてに古賀を出場させ、配球、捕球、送球、コーチング、カバーリングといった捕手に必要な要素を実戦で体得させた。

 そこからわずか2カ月の間に福岡と九州を制したチームの絶対的な「扇の要」となり、エースの三浦銀二を秋の公式戦全試合完投に導いたのだった。

 センバツ2回戦の滋賀学園戦でチームは決定力を欠き、延長15回を戦っての再試合となった。エースの三浦は当然のようにひとりで15回を投げ抜き196球の完投。延長12回あたりから三浦のストレートは明らかに威力をなくし、13回以降は常にスコアリングポジションにランナーを背負った。ピンチになると最後の力を振り絞りギアを一段階上げた三浦は、再び140キロ前後のストレートを連発し、なんとか危機を脱出した。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る