「滞空時間7秒14」の大飛球に見た、
早実・清宮幸太郎のスケール

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 とくにセンターへの大飛球は一歩間違えれば大ホームランになっていたはずだし、レフトフライは清宮本人も「(当たったのは)先っぽでしたが、悪くはなかったです」と手応えのあるスイングだった。結果だけを見れば平凡に見えるかもしれないが、その内容をひとつひとつ見ていくと、清宮は確実に"屈辱の秋"から一歩前進している。

 江藤智や金本知憲など、数々のスラッガーを見出してきた広島の苑田聡彦スカウト統括部長に聞くと、開口一番「清宮くんはいい!」と賞賛した。

「タイミングの取り方とか、バランスがいいですよ。タメがあるから、常にそのピッチャーの一番速い球にタイミングを合わせていて、両サイドの変化球にも対応できる。これができるバッターはそういませんよ。来た球に対して常にフルスイングができる打ち方なんですが、今日はどこか当てにいっているように見えましたね。初戦だったからか、ちょっと打ち急いだのかもしれませんね」

 結果的に初戦で清宮のバットから長打は飛び出なかったが、チームが勝利したことで、甲子園で清宮を見る機会はつながった。今後、清宮にとって甲子園通算3本目となる本塁打が出るとしたら、バックスクリーンなのではないか......。そんな夢のあるイメージを抱かせるほど、清宮幸太郎はひっそりと、着実に進化を続けている。

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