5年ぶり頂点へ。大阪桐蔭の新2年生に「凄すぎるメンバー」がズラリ (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Kyodo News

「まだ内野はやり込めていませんが、中学時代に初めてノックを受ける姿を見て、とっさにキューバの選手が浮かんできたことを覚えています。ショートを守っていて、前の打球を軽快にさばいて、下からスナップだけで送球したらこの球がとんでもなく強くて。あれは驚きました」

 チーム事情と登板を見越し、年明けからはサードの練習にも取り組んでいる。ちなみに投手としての根尾だが、現在の最速は148キロ。しかし、本人の興味は同じスピードでも最速を示す初速ではなく、終速にある。投手指導を行なう石田寿也コーチが言う。

「本人から『今の終速どれくらいですか?』と聞いてくるんです。すべてにおいて意識が高く、中身の濃い練習を積みながら、ボールの質も上がってきました。一度、初速138キロ、終速137キロというのがあり、本人に伝えたらすごく喜んでいました」

 昨年秋までは、スピードは出ているのにシートバッティングなどで痛打される場面があった。フォームの問題も含め、ストレートの質、打者の手元で強い球がいくように、本人も試行錯誤を重ねてきたのだろう。医者の家系で、非常に聡明な頭脳を持ち、理解力、向上心も高い。

 一方で、中学時代はスキーの回転、大回転で世界大会にも出場した経歴を持ち、根尾自身も「スキーの動きに必要な前後と横の体幹を日常的に鍛えていたことが野球に役立っているのかもしれません」と言う。  強いスイングも強い腕の振りも、体の軸の安定があればこそ。かつて「スーパー中学生」と呼ばれた男は、自身初となる甲子園でどんな活躍を見せてくれるのだろうか。

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