センバツで神戸国際大付が目指す破壊的「プロレス野球」って何だ!? (4ページ目)

  • 谷上史朗●文・写真 text&photo by Tanigami Shiro

 選手の成長を喜べることは、高校野球指導者に必要な資質のひとつだろう。そして選手の成長のために青木監督が早くから取り組んできたのが体づくりだ。今も青木の右腕として支えている上里田哲英をコンディショニング担当の専任コーチとして学校が正式に契約。年間を通してのトレーニング、ケアの徹底を20年近く前から取り組んできた。

「『野球がうまくなるために』というのはもちろんやけど、やっぱり男の子やから体を鍛えて大きくなれば、気の弱い子でも自信がつく。体が締まってくれば顔つきも精悍に見えますから。そういうことを思って、体を鍛えさせたというのはあります」

 体づくりを考えたとき、まず頭に浮かんできたのがレスラーたちの鍛え抜かれた肉体だった。戦う男として、レスラーの姿からヒントを得ることがあった。

「レスラーは自分のカラーを出していかないとあかんでしょ。これも何度か見ていると、髪型やコスチュームや言葉が変わっていくのがわかる。アピールするための見せ方というか、自分を理解した上でどう見せるか。今までと同じじゃなく、もっと新しいもの、もっといいものを見せていこうという意識ですよね。オリジナリティーと向上心、ここが大事というのは高校野球にも通じると思います。だから、年間を通しての体づくりや、これだけプロレスのテーマ曲を入れているというのも、神戸国際大付といったら......という部分なんです」

 兵庫の高校野球のトップモデルは、報徳学園や東洋大姫路に代表される堅実な守りと、機動力を絡めたしぶとい攻撃。しかし、青木監督は就任当初からそうした野球は目指さなかった。

「競って最後に勝ちましたというのではなく、理想は頭からガツンと相手を潰しにいく野球。プロレス的に言うなら、"破壊的"というのかな。基本、バッティングが好きで、打球もただヒットになればいいというのじゃなく、糸を引くよな『さすが神戸国際やな』という当たりを出していきたい。その理想は常に持っています」

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