清宮に続き、安田も３三振。日大三・櫻井周斗が初戦敗退でも得た自信 (3ページ目)

　ただ、日大三バッテリーの思惑通りに進んでいたように見えて、実は誤算もあった。試合前、櫻井はこんなことも語っている。

「早実戦は清宮を抑えても、下位打線に打たれました。履正社も下位打線が強いので注意したいと思います」

　しかし、実際には３回に９番打者・西山虎太郎にタイムリー二塁打を浴び、５回には８番の片山悠を四球で出塁させ、再び西山に二塁打を打たれた。捕手の津原は「気を抜いて投げたわけじゃない」と櫻井をかばったが、これで歯車が狂ったのか、櫻井は１番の石田龍史に逆転３ラン本塁打を浴びる。

　そして７回からは突然、櫻井の制球が定まらなくなった。「バランスが崩れた」と津原が言うように、ボールが抜けたり、引っかかったりと悪戦苦闘。安田の４打席目も、スライダーにタイミングが合わない状況は続いていたにもかかわらず、スライダーがすっぽ抜けて死球を与えている。津原は櫻井の突然の乱調について「珍しいことではなくて、センバツ前の練習試合でも荒れることはよくありました」と証言する。

　櫻井が本格的に投手に転向したのは２年の夏のこと。つまり、まだ１年も経過していない。それだけに、１試合通して自分のメカニズムを保ったまま投げ続けるということが難しいのだろう。

　試合は８回終了時点で５対５と同点だったが、９回表に履正社が１点勝ち越し。さらに、櫻井がこれまで完璧に抑えていた安田にレフトオーバーの弾丸ライナーを浴びた時点で、この試合は終わったと言っても過言ではなかった。最終的には５対12と大差がついて、日大三の春のセンバツは閉幕した。