清宮に続き、安田も3三振。日大三・櫻井周斗が初戦敗退でも得た自信 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kyodo News

 そして、昨秋の明治神宮大会チャンピオンに輝いている履正社打線に対しては、「真ん中に入らないよう、高さは関係なくとにかくコースを突いて、腕を振って投げたい」と決意を語っている。

 試合開始直後、櫻井とバッテリーを組む捕手・津原琉斗は履正社・安田対策としてこんなことを考えていた。

「清宮と同じ攻め方にするつもりはないけど、1球目の反応を見て決めよう」

 初球、外角低めの127キロのスライダーを安田は見逃し、ボールとなった。この安田の見逃し方を見て、津原は「清宮と同じで、(スライダーが)見えてないなと思いました」という。以降は「ストレートを見せ球にして、スライダーで勝負」という清宮を5三振に仕留めた時とまったく同じ配球で安田を封じ込めていく。

 さらにバッテリーには履正社打線に対して、ある「秘策」があった。この日のために新球・チェンジアップを隠していたのだ。

 安田とともに強打者として知られる4番・若林将平の2打席目だった。カウント2-2と追い込んだ5球目、櫻井は右打者の若林に対して初めてチェンジアップを投じて空振り三振を奪う。昨秋時点で投げられる変化球はスライダーしかなかった櫻井が突然投じたチェンジアップ。その意図を捕手の津原はこう明かす。

「4番の若林くんに対してだけ投げました。そうすれば若林くんの口から他のバッターにも伝わるじゃないですか」

 履正社打線にスライダー以外の選択肢を与えることで、決め球であるスライダーの効果がより強固になる。昨秋の早実戦では野村大樹にサヨナラ本塁打を含む3安打を許すなど、右打者に打ち込まれていただけに、このチェンジアップは右打者対策にもなった。

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