清宮に続き、安田も3三振。日大三・櫻井周斗が初戦敗退でも得た自信

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kyodo News

 安田尚憲(履正社)がまったく当たる気配のない空振りを繰り返すたびに、「このシーンをどこかで見たことがある」という既視感に襲われた。それは今から4カ月前の秋季東京大会決勝戦。神宮球場で清宮幸太郎(早稲田実)が5打席連続三振を喫したシーンだった。

 試合後、安田は空振りを繰り返した場面をこう振り返っている。

「今まで自分が見てきたなかで一番すごいスライダーでした。ストレートとスライダーを低めのゾーンに投げられて、見極めができませんでした」

注目のスラッガー・安田尚憲(履正社)から3三振を奪った日大三の櫻井周斗注目のスラッガー・安田尚憲(履正社)から3三振を奪った日大三の櫻井周斗 日大三のエース左腕・櫻井周斗は初めての甲子園マウンドで恐るべき奪三振ショーを演じてみせた。清宮の5打席連続三振に続き、安田に対しては3打席連続三振。しかも、勝負球はすべてスライダーだった。ストレートと同じ軌道からスッと沈むスライダーに、清宮も安田も同じような空振りを繰り返した。プロ垂涎の超高校級スラッガー2人が、同じように手応えのないスイングで空振りを繰り返す光景は「絶望」という言葉すら浮かんできた。

 試合前、開会式を終えたばかりの櫻井はリラックスした様子で報道陣の取材に受け答えしていた。

「小倉(全由)監督から言われたんです。『みんな緊張するだろうけど、やるのはたった2時間だけだ。人生80年のうちの、たった2時間だ』と。それもそうだなと思って」

 普段から大舞台でもあまり緊張しないタイプだという。開会式の入場行進中には応援に駆けつけてくれた野球部OBの姿を見つけたり、甲子園球場の景色を眺める余裕もあった。

「神宮球場とはまったく違いますね。同じプロで使う球場ですけど、高校野球だと雰囲気もまったく違う。スタンドも(座席が)どんどん高くなっていく感じで」

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