監督就任すぐに甲子園へ。あのセンバツ準優勝投手の元プロがやったこと (4ページ目)

  • 元永知宏●文 text by Motonaga Tomohiro
  • photo by Kyodo News

──生活面の変化が野球の勝敗にも関係しているわけですね。しかし、四国大会決勝では甲子園常連校の明徳義塾(高知)に2対11で敗れました。

「初回にいきなり6点を取られ、圧倒されました。個々の力もそうですが、チームとしてもそう。全国優勝を狙うチームの底力を思い知らされましたね。甲子園に出るのが目標のチームとは全然違います。でも、選手にとっては全国のレベルを感じられた貴重な試合になったと思います」

──明徳義塾は昨夏の甲子園でベスト4。馬淵史郎監督はセンバツで全国制覇を狙っているはずです。

「選手たちには『明徳のレベルまで上げないと、甲子園で恥をかいて帰ることになるぞ』と言いました。うちの高校にはホームランバッターも、足の速い選手もいない。だから、ランナーを二塁に進めること、そこからランナーを返すことを徹底して練習しています。チャンスをどうやってモノにするか、その場面で相手投手がどんな攻め方をするか、どういう気持ちで打席に立てばいいのかを考えさせています」

──勝負強さを身につけさせようとしているのでしょうか。

「緊張した場面で力を出せなければ意味がありません。打者にはプレッシャーをかけますし、消極的な打撃をすれば全員を走らせることもあります。練習や練習試合では、選手をどんどん追い込んでいます。1アウト二塁の場面をつくって、あとのふたりの打者でなんとかして返す。その積み重ねです。徹底して意識を植え付けてきたので、選手たちの声が変わってきました」

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