神宮枠で混迷。同一都府県から
3校のセンバツ出場はなぜダメなのか?

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

"内規"という言葉を調べると、「特定の組織・団体の内部における規定・規制。当の組織・団体の外部には適用されない」、もしくは「内部規制。公にはしていないが、規制すること、規制されていること」とある。はたして、この"内規"は絶対の効力を持つものなのか。それとも、例外を含むものなのか......。非常に解釈の難しい言葉だ。

 再び戸田氏が言う。

「高野連のスタンスからすると、選考前のニュアンスはこんな感じだと思います。『一般選考で大阪からの3校はない。ただ、上宮太子が選ばれる可能性はゼロとは言っていない』」

 つまり、こういうことだ。

「大阪桐蔭を逆転して選ばれることはないとは言えない、と。実現する可能性は低いですが、絶対ではない。大阪から3校はないけど、上宮太子が選ばれないことはない、というニュアンスだと思います」(戸田氏)

 もし、上宮太子が準々決勝で神戸国際大付に勝利していたらどうだっただろう。仮に、準決勝で大阪桐蔭に敗れたとしても、ベスト4進出である。戸田氏は「それでも大阪から3校はないと思います」と言う。実力の比較からしても、選ばれてしかるべきチームだと思うのだが......。いずれにしても、今の選考基準に強い違和感を覚える。

 かつては、選考を巡って裁判になった例もあるという。1970年に帝京商工(現・帝京大高)が選考を不服とし、訴訟を起こしたのだが、その理由はこうだ。

 秋の東京都大会で帝京商工は決勝にまで進み、その決勝でも日大三に延長12回の末に惜敗。当時、東京は一般選考で2枠あり、結果や内容からすると帝京商工の選出は確実と思われていた。だが、センバツに選ばれたのは東京都大会準決勝で帝京商工に0-2で敗れた堀越だった。

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