神宮枠で混迷。同一都府県から3校のセンバツ出場はなぜダメなのか? (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 例年ならこれで話が終わっていたはずだが、履正社が神宮大会を優勝したことで"神宮枠"が与えられ、さらにもう1校にセンバツ大会出場のチャンスが生まれたのだ。

 普通に考えれば、上宮太子と高田商業のどちらかの選出が濃厚となる。この2校を比較すれば、上宮太子は大阪大会決勝で履正社に勝利するなど、大阪大会を1位で通過。近畿大会初戦の高野山戦では9回に4点を挙げて逆転勝ちをおさめ、準々決勝の神戸国際大付戦ではコールド負けを喫したが、中盤まではリードする展開だった。

 対する高田商業は、奈良大会を準優勝で通過し、近畿大会初戦の和歌山東戦では9回に4点差を追いつき、延長13回にサヨナラ勝ち。コールドで敗れた準々決勝の履正社戦も中盤まで粘り強い戦いを見せていた。

 どちらも持ち味を発揮したが、近畿大会、神宮大会を圧巻の強さで制した履正社に唯一の黒星をつけた上宮太子に分があるように思えた。事実、神宮大会で履正社の優勝が決まると、上宮太子のセンバツ出場を口にするマスコミ関係者がいたし、上宮太子を応援する関係者たちが、監督や部長らに「これでセンバツに行けるな」と声をかける一幕もあった。

 だが、すんなり決まらないのが"選考"の難しさだ。高校野球専門誌『ホームラン』(廣済堂出版)の編集長を務める戸田道男氏が言う。

「神宮大会の結果を受けて高野連の関係者に選考方法についてあらためて確認しましたが、一般選考で『大阪から3校の選出はない』という答えでした」

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